竹凛共振 |
『 竹 凛 共 振 』 始まり
秋の夕暮れ時に(おうまの筍)で有名な竹林の中にいた。
そして、そこで不思議な不思議な出来事に遭遇することになった。
それは、とてもこの世のものとは思えない程の妖艶な一本の竹に出逢ってからの事である。
竹林特有の冷たく透き通る凛とした静寂な空間に身を置いて、無心な心地で佇んでいると、向こうから一本の竹が、
風のそよぎのように何かを語りかけてきた。
わたしはそっと近寄り、その竹の幹を見つめていた。
リズミカルに吹いてくる快い風と共に、さらさらとゆらぐ笹の葉が舞い降りてくる姿がいつもより心地良く感じらた。その時何故か幸せな心で満たされていて、ふと気付くといつの間にかその情景に溶け合うかのように意識が肉体と時空を超えて、周りの空間と一体化する感覚を憶えた。
それから暫くして、その妖艶な動きでしなやかに舞い踊るその竹の誘惑に誘われるままにもっと近寄り、気になる節と節の間にそっと耳を押し当てて心を澄ましてみると、信じ難い事にその不思議な竹が、何かを語りかけるような優しい声で、ささやいているではないか!それは、一瞬夢ではないかと我が身を疑ったが、確かにその透明で美しく風のように揺らぐ振動は、暫くの間快く響き続けていた。
その声は、竹の宿す生命の息吹が振動により音楽を奏でているかのように私は感じた。
それからまた違う風が吹いてきて、周りの笹の音も一斉に騒がしくなると、今度はそれに加え意思を持って語りかけてくるかの如く、威厳に満ちた低いトーン(振動)で身体の中に入り込んできては、私の意識と肉体の中を駆け巡ったかと思うと、それが凝縮してジワジワと白い半透明の光へと変化しながら一本の太い光の柱となり、真っすぐにどこまでも限りなく宇宙の果まで突き抜けて行くような光景がはっきりと見えた。
その時わたしは直感的に閃いた・・・
もしかして、この神秘的なエネルギーとパワーを秘めた摩訶不思議な体験はきっと、凛として真っすぐにそびえ立つこの竹を通して、大自然から与えられた何かのメッセージである事に違いない!と強く思った。
そうだ、大自然が奏でるこの美しい響きを、創造的意思を以て竹楽器に造り上げよう!
そして、お互いの個性が有機的に繋がり響き合い、より多くの人と人が喜びと感動を共にできるコミュニティーを竹楽器と音楽を通して創造しようと強く心に誓ったのである。
これこそが大自然の摂理と調和を美しく奏でるシンフォニー、ナチュラルハーモニーだと。
それ以後わたしは、これらの経験を『 竹 凛 共 振 』と名付けた。